「潮騒の街」は都会の生活に疲れ、海の見える街へ移り住んできた青年が主人公の、大人が感じる心の痛みを描いたアドベンチャーゲーム。
謎解きなどは一切無く、ストーリーを楽しむことに主体が置かれています。
なのでアクションとか謎解きが苦手な方でも、最後まで青年の心の痛みや、周りにいる人たちとの物語を楽しむことができます。
心の傷を描いた物語
この町にいる人たちは、それぞれ心の傷を抱えています。
その心の傷と向き合い、関わり合うことで癒していく。
その様子を枯れ木で表しているんですよね。
社会と関わることに疲れ心を閉ざした青年が、同じように心に傷を持つ人たちと関わっていく。
その中でいったい何を見つけるのか。
「死」という思いテーマを取り入れた、心の傷を描いた物語が、プレイする人の心を打つ作品です。
本を読むように進むストーリー
「潮騒の街」はストーリーに重点を置いているため、行き先や謎解きで悩むことはありません。
なのでよりストーリーを楽しむために、主人公たちの「言葉」をしっかりを読んでほしい。
するとまるで1冊の本を読んでいるかのように、ストーリーを最後まで楽しめるはずです。
極端だからこそ感じることがある
「潮騒の街」に描かれている物語はかなり極端な印象を持ちます。
周りで働いている人は自己啓発に励み、周りの人にウソをつき、上辺だけで付き合っている。
そんな様子を「汚れ」だと決めつけている青年。
そして社会に嫌気がさし、仕事を辞めて浜辺の町へ引っ越してきました。
この行動力を見ても結構極端ですよね。
まるで1か0しかないような考え方で、「ダメ」だと決めたら距離を置きたくなってしまう。
なのに「潮騒の街」では「放っておいてほしい」と思いながらも、周りの人の心の傷を救おうと積極的に関わっていきます。
この「行動」と「考え方」の矛盾。
自ら関わることを選ぶのに、自分の心に踏み込まれることを嫌がるという矛盾。
結果周りの方が幸せになると「俺なんて…」、そう自分を卑下していく。
そんな極端な心の動きを描いているからこそ、プレイする人の心に響くのかもしれません。
